北通遺跡8号方形周溝墓出土遺物(富士見市指定有形文化財)
最終更新日:2021年7月15日
北通遺跡(針ヶ谷1丁目)は、これまでの調査で弥生時代後期の竪穴住居跡や方形周溝墓が多数確認されています。方形周溝墓とは、溝で方形に区画した内側に土を盛り上げ墳丘とした、弥生時代特有の墓の形です。1986年に調査された第8号方形周溝墓は、一辺12メートルを測る大規模なもので、死者を埋葬した主体部からは鉄剣と31個のガラス玉が見つかりました。また周溝からも、高さ60センチメートルを測る大型の赤彩壺や、追葬されたと思われる壺棺なども見つかりました。
鉄剣は、長さ61.7センチメートルを測り、発見時には関東地方最長で、新聞などでも大きく報道されました。現在では千葉県市原市草刈遺跡の鉄剣に次いで関東地方で2番目の長さとなりましたが、全国でも6番目の長さであり、最大級には変わりありません。切っ先から柄まで完存し、鞘と思われる木片が一部に付着しており、柄の部分には目釘が残っています。
ガラス玉は、1個が直径5ミリメートルで藍色をしており、他の30個は直径3ミリメートルでコバルトブルーをしています。
壺棺は、口を欠いた壺を棺とし、脚部を欠いた高坏を蓋としてかぶせていました。
第8号方形周溝墓から出土した鉄剣、ガラス玉、土器は1992年に富士見市指定有形文化財に指定されました。
土器(左から壺棺、大型赤彩壺、赤彩壺)
ガラス玉
鉄剣 (注記)保存のため常設展示していません。