借り過ぎには十分注意して 自己破産Q&A
最終更新日:2019年1月25日
借りすぎは多重債務の原因です。最近多い自己破産の申請
生活費の足しに、遊興費のために、医療費のためにといったさまざまな理由により、複数の消費者金融から借金し、ついにはヤミ金からも借金をして、自分の収入では返済の見通しが立たなくなり、自己破産の申請をする人が増えています。
自己破産に関するQ&A
A.自己破産を考えている人にとって一番知りたいのは、自己破産をすることにより今後生きていく上で、どのような不利益があるかということではないでしょうか。
一般的に自己破産というと、人間性まで否定され、その後は満足な社会生活ができないのではないかと考えている人が多いと思います。
自己破産は借金超過で苦しんでいる人を救い、再び立ち直るチャンスを与えるために国が作った制度です。平成17年度1月1日施行の新破産法によりいままで以上に利用しやすくなりました。
自己破産をしても、自分から言わなければ原則として会社や身内に知られることもありませんし、免責を受けてしまえば、生きていく上での不利益は7年ぐらいの間ローンやクレジットの利用ができなくなることぐらいです。
債務の整理にほかの方法(任意整理、民事再生、特定調停)を使ってもローンやクレジットの利用はできなくなります。
A.破産宣告されると官報に公告され債権者にもその旨が通知されます。また、信用情報機関にもそのことが事故情報として登録されます(一般にブラックリストに載るという状況になります)ので、銀行などの金融機関からの借入れやクレジット会社のカードを作り利用することはできなくなります。この期間は7年くらいと思われます。
この期間を過ぎれば、またクレジットやローンを利用することができるようになります。ただし、この期間は法律的なものではなく、それぞれの金融機関の会社内部の規定に基づくものであり、いつから利用できるかは実際に申し込んでみないとわからないこともあります。
ブラックリストについて
ブラックリストとは、各信用情報機関に登録されている事故情報をいいます。
信用情報機関とは、消費者金融などの円滑化を図るために銀行協会、消費者金融専門業者などが運営している情報機関です。代表的なものとして、銀行、信用金庫、信用組合などが会員となっている全国銀行個人信用情報センター、消費者金融業者が会員となっている日本情報センター、信販会社、家電・自動車メーカー系クレジット会社などが会員のシー・アイ・シーなとがあります。また、各信用情報機関は、CRIN(クリン)システムにより、現在事故情報について相互利用を実施しています。
なお、情報の登録期間は、各機関によって多少異なりますが、延滞などの事故情報については、事実発生後5年間、自己破産に関する情報については、宣告日から10年を超えない期間になります。
A.法律的な影響は全くありません。親の自己破産が子どもの進学、就職、結婚などに影響することはありません。また、家族への影響も全くありません。
A.家族が申立人の保証人になっていなければ、家族に支払い義務は一切ありません。たとえ債権者から家族あてに請求があったとしてもそれに応じる必要は全くありません。また、そういった取り立ては貸金業法規制法に違反しているので、その旨を伝えれば、そういった取り立てを続けることはないでしょう。
A.通常のケース(同時廃止事件)では、いつでも海外旅行に行くことができます。ただ、破産管財人事件の場合は、破産の手続きが終わるまでは裁判所の許可なしで引越しや長期の旅行に行くことはできませんが、破産手続きの後は、いつでも海外旅行に行くことができます。
A.通常のケース(同時廃止事件)では、いつでも引越しをすることができます。ただ、破産管財人事件の場合は、破産の手続きが終わるまでは裁判所の許可なしで引越しや長期の旅行に行くことはできませんが、破産手続きの後は、いつでも引越しをすることができます。
A.自己破産の申し立て時に同居人の収入を証する書面を提出する関係上、家族に内緒で自己破産をすることは非常に難しいと思います。ちゃんと家族に事情を打ち明けて家族が協力し合って借金の整理をしていくことをお勧めします。
A.原則として債権者の方から会社あてに申立人が自己破産することを通知することはありませんので、自分で言わない限り会社に知られる可能性は少ないと思われます。しかし、勤務先にも取り立ての電話は行くことになりますので、どうしても会社に知られたくない場合は、自分で手続きをせずに司法書士または弁護士に依頼することをお勧めします。司法書士または弁護士に依頼した場合には、各債権者は依頼人に対して直接取り立てをすることができなくなります。
依頼を受けた司法書士または弁護士は事件を受任した旨の通知を各債権者に送ることになり、各債権者がその通知を受け取った時点から勤務先への取り立ての電話はなくなることになります。
A.自己破産は懲戒解雇事由にあたらないので、一般のサラリーマンは自己破産をしても会社から解雇されることは法律的にありません。自己破産をしたことが会社に知られてしまうと、会社に居づらくなってしまうのではないかという不安もあると思います。原則として債権者の方から会社あてに申立人が自己破産することを通知することはありませんので、自分で言わない限り会社に知られる可能性は少ないと思われます。
しかし、勤務先にも取り立ての電話は行くことになりますから、会社に知られたくないときは、自分で手続きをせずに司法書士または弁護士に依頼することをお勧めします。
司法書士または弁護士に依頼した場合には、各債権者は依頼人に対して直接取り立てをすることができなくなります。
依頼を受けた司法書士または弁護士は、事件を受任した旨の通知を各債権者に送ることになり、各債権者がその通知を受け取った時点から会社あての取り立ての電話はなくなることになります。
A.同居している場合は、自己破産することを知られずに手続きすることは非常に難しいと思いますが、別の世帯であれば、自分で言わない限り身内に知られることはないと思われます。
A.破産宣告が載るのは、通常の新聞ではなく、官報という国が発行する特殊な新聞です。しかし、普通の書店では購入できませんし、一般の人には縁がないので、官報から自己破産をしたことを知られることは少ないと思われます。
A.選挙権、被選挙権などの公民権はなくなりませんので、投票もできますし立候補もできます。自己破産しても自分から言わなければ原則として会社や身内に知られることもありませんし、免責を受けてしまえば、不利益は7年間ぐらいの間ローンやクレジットの利用ができなくなるくらいで意外に不利益がないと感じる方も多いかも知れません。
しかし、原則として自己破産は2度することはできません。
A.自己破産は、戸籍および住民票には記載されません。ただし、本籍地の市町村役場の破産者名簿に記載されます。破産者名簿は、破産者でないことの身分証明書を国が発行する際にチェックするための名簿であり、一般の人が見ることができるものではありません。
なお、免責許可の決定(復権)により抹消されることになり、抹消後は破産者でないことの身分証明書を請求することができます。
A.貸金業の登録業者であれば、会社や実家への取り立てが貸金業規制法のガイドラインに違反しているのを知っているので、その旨を伝えれば、そういった取り立てを続けることはないでしょう。しかし、本人に対する取り立てはこの限りではありませんので、自己破産の申し立てまでは電話などでの取り立ては続くことになるでしょう。また、債権者の中には司法書士や弁護士などの専門家に依頼していないとわかると、かなり厳しい取り立て行為をしてくる場合もあります。司法書士、弁護士に依頼した場合には、各債権者は依頼人に対して直接取り立てをすることができなくなります。
依頼を受けた司法書士または弁護士は事件を受任した旨の通知を各債権者に送ることになり、各債権者がその通知を受け取ったは時点から依頼人は債権者からの厳しい取り立てから解放されることになります。
なお、自己破産の申し立て後は、本人に対する取り立てを含め、すべての取り立ては貸金業規制法のガイドラインで禁止されているので、債権者からの取り立て行為は全くなくなります。
ただ、ヤミ金融と呼ばれる未登録の業者に関してはこの限りではなく、違法な取り立てなどによる被害があとを絶たないのが現状です。ヤミ金融が債権者の中にいる場合は弁護士または司法書士などの専門家に依頼するようにしたほうがいいでしょう。
A.自己破産をしても年金の受給権に影響はありません。自己破産後も同じように年金の受給がされることになります。
A.家賃を滞納している場合には賃貸借契約の解除原因にあたりますからアパートを出なくてはなりませんが、家賃の滞納がない場合には出る必要は全くありません。
A.自己破産をしても、それが国家資格を受験する上での障害にはなりません。ただし、資格の中には免責を受けた後でなければ登録できない資格もあります。
A.自己破産を申し立てるには、自己破産をするための用件を満たしていなければなりません。自己破産をするための要件とは、借金をどうしても返せない状態(支払不能の状態)であると裁判所が認定した場合になります。
申し立て人の借金の額や収入を考慮して、裁判所がもう返済していくことが無理だと判断した場合ということになります。申立人の借金の額が100万円で収入が手取りで30万円の場合だと普通に返済していくことができますので、支払不能状態ではないと判断され自己破産はできないことになります。しかし、申立人の借金の額が500万円で収入が手取りで10万円の場合だと、どう考えても返済していくことができませんので、支払不能の状態と判断され自己破産できることになります。
平均的な収入の会社員だと支払不能の状態かどうかの分岐点は借金の総額が200万円前後になると思われます(扶養家族が多い場合や生活保護を受けている場合などは、それらの事情を考慮し分岐点は下がることになります。)
自己破産の制度は普通に働いているのに返済できない状況を前提にしているので、無職であっても、そんなに大幅に自己破産できるかどうかの分岐点が変わるものではありません。
普通に働いている(働ける)状態で、なお特別な事情がないケースで自己破産を申し立てた場合、債務の総額か200万円に満たないと、申立人が支払い不能の状態にない(まだ支払能力がある)と判断され、自己破産の申し立ては受理されない可能性があります。
自己破産が受理されない場合の借金の整理はほかの方法(任意整理、民事再生、特定調停)を選択することになります。
自己破産が申し立てられるかどうか微妙な場合には、事前に専門家に相談してから手続きを進めたほうがよいでしょう。
A.海外旅行や買い物などでクレジットカードを使いすぎた場合が免責不許可事由の浪費にあたるかという問題です。不要な出費が生活費の3分の1以上にあたる場合だと浪費と考えられています。その浪費の割合が現在の債務の大部分を占めるような場合には免責不許可事由に該当すると思いますが、クレジットカードの使いすぎが原因であっても返済のために消費者金融などから借金をすることにより多額の債務を負うようになった場合などは免責不許可事由に当たらない可能性があります。
免責不許可事由に該当する場合の借金の整理はほかの方法(任意整理、民事再生、特定調停)を選択することになります。このような場合には、事前に専門家に相談してから手続きを進めたほうがよいでしょう。
A.ギャンブルによる借金は免責不許可事由のひとつに当たりますが、ギャンブルによる借金でも、その返済のために消費者金融などから借金をすることにより多額の債務を負うようになった場合には免責不許可事由に当たらない可能性もあります。
免責事由に該当する場合の借金の整理はほかの方法(任意整理、民事再生、特定調停)を選択することになります。このような場合には、事前に専門家に相談してから手続きを進めたほうがよいでしょう。
用語の意味
- 自己破産:
- 地方裁判所で破産手続開始決定を受け、法令で定められた財産以外の全財産を弁済に充てることで、残債務の免除を受け、再出発をする方法です。
- 特定調停:
- 簡易裁判所の仲介で業者と話し合い、合意を成立させる方法で、利息制限法に引きなおし計算して、元本の減額、将来利息の免除などをして、返済額や期間などを決めるのが一般的です。
- 任意整理:
- 弁護士や財団法人日本クレジットカウンセリング協会などに依頼して業者との和解を図る方法です。
民事(個人)再生:地方裁判所に申し立て、財産を処分することなく立て直しを図る方法です。住宅ローンを除く借金が5,000万円以下、継続収入、一定額の3年間(原則)での計画返済などいろいろ厳しい条件がありますが、これらの条件を満たすと残債務の免除が受けられます。
A.自己破産の申し立て直前に借入れをしていて、1度も返済していない場合には債権者に対する詐欺罪に当たる可能性があり、免責が受けられないことがあります。
このような時は、事前に専門家に相談してから手続を進めたほうがよいでしょう。
A.ローンで買った商品をローンの途中にもかかわらず売ってしまったときは、債権者に対する詐欺罪に当たる可能性があり、免責が受けられないことがあります。
このような時は、事前に専門家に相談してから手続を進めたほうがよいでしょう。
A.生活に必要なものは差押禁止財産といい、破産者の家族の生活に必要な衣服や家具などは差押えることはできません。なお、パソコン、高価なテレビなどでも所有権が債権者のものでなければ、ほとんどの場合、処分換金されることはありません。
実際に自己破産の手続において処分、換金されるのは、高額な自動車、株券などの有価証券、生命保険の解約返戻金、不動産(不動産の場合は所有していれば、ほぼ間違いなく破産管財人事件になると思っていいでしょう)などの一定の価値のあるものです。
ただし、「自由財産」といって、一定の範囲の財産については、今までどおり所有することができます。「自由財産」とされるのは、99万円以下の現金の他に残高20万円以下の預貯金、、差押禁止財産、処分価格が20万円以下の自動車などですが、具体的な自由財産の取り扱いは裁判所に確認する必要があります。
A.自己破産を申し立てる時点で不動産を所有している場合は、原則として破産管財人事件になり、裁判所から選ばれた管財人により処分換金され各債権者に分配されることになります。なお、破産管財人事件の場合になると、裁判所に納付する予納金が50万円程度かかり、専門家に対する報酬などの手続費用も高額になります。
また、不動産の名義を変更して、申立人が不動産を所有していないことにして申し立てをした場合は、免責不許可事由に該当するだけではなく詐欺行為として刑事責任をとわれる可能性もあるでしょう。
また、住宅ローンを支払い続けながら(マイホームを守りながら)借金を整理したい場合には民事再生を選択することになります。
A.自己破産を申し立てる時点で所有している自動車の価値がある程度高額な場合には自動車を処分して債権者に分配するように判断される場合があります。
ただし、「自由財産」といって、一定の範囲の財産については、今までどおり所有することができます。「自由財産」とされるのは、99万円以下の現金の他に残高20万円以下の預貯金、、差押禁止財産、処分価格が20万円以下の自動車などですが、具体的な自由財産の取り扱いは裁判所に確認する必要があります。この判断には通勤で使用しているので処分されると困るといった理由は原則として考慮されません。
なお、ローンで購入した自動車はローン会社が所有権を留保している場合には、その自動車の価値にかかわらずローン会社に引き渡すことになります。
A.自己破産を申し立てる時点で株券やゴルフ会員権などの有価証券の価値がある程度高額な場合には株券やゴルフ会員権などの有価証券を解約して債権者に分配するように判断される場合があります。
ただし、「自由財産」といって、一定の範囲の財産については、今までどおり所有することができます。「自由財産」とされるのは、99万円以下の現金の他に残高20万円以下の預貯金、、差押禁止財産、処分価格が20万円以下の自動車などですが、具体的な自由財産の取り扱いは裁判所に確認する必要があります。
A.自己破産を申し立てる時点で生命保険の解約返戻金がある程度高額な場合には保険を解約して債権者に分配するように判断される場合があります。
ただし、「自由財産」といって、一定の範囲の財産については、今までどおり所有することができます。「自由財産」とされるのは、99万円以下の現金の他に残高20万円以下の預貯金、、差押禁止財産、処分価格が20万円以下の自動車などですが、具体的な自由財産の取り扱いは裁判所に確認する必要があります。
A.自己破産を申し立てる時点で退職金の支給額(支給予定額)が160万円以上(この額は裁判所によって多少異なる場合があります)ある場合には、裁判所からある程度の額を債権者に分配するように指示される場合があります。
A.自己破産の申し立て後は、本人に対する取り立てを含め、すべての取り立ては禁止されているので、債権者からの取り立て行為は全くなくなることになります。しかし、中にはそれを知っていて連絡してくる業者もないとはいえません。
貸金業の登録をしている業者であれば、自己破産の申し立て後の取り立てが貸金業法規制法のガイドラインに違反しているのを知っているので、その旨を伝えれば、そういった取り立てを続けることはないでしょう。
ヤミ金融と呼ばれる未登録の業者に関してはこの限りではなく、違法な取り立てなどによる被害があとを絶たないのが現状です。ヤミ金融が債権者の中にいる場合には必ず弁護士または司法書士などの専門家に依頼するようにした方がよいでしょう。
A.自己破産、免責後は会社を設立することができます。また、取締役にもなることができますので、会社の運営にも積極的に参加することができます。
用語説明
用語 | 解説 |
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自己破産 | 地方裁判所で破産手続開始決定を受け、法令で定められた財産以外の全財産を弁済に 充てることで、残債務の免除を受け、再出発をする方法です。 |
任意整理 | 弁護士や財団法人日本クレジットカウンセリング協会などに依頼して業者との和解を 図る方法です。 |
民事(個人)再生 | 地方裁判所に申し立て、財産を処分することなく立て直しを図る方法です。住宅ローン を除く借金が5,000万円以下、継続収入、一定額の3年間(原則)での計画返済など いろいろ厳しい条件がありますが、これらの条件を満たすと残債務の免除が受けられます。 |
特定調停 | 簡易裁判所の仲介で業者と話し合い、合意を成立させる方法で、利息制限法に引き なおし計算して、元本の減額、将来利息の免除などをして、返済額や期間などを 決めるのが一般的です。 |
ブラックリスト | ブラックリストとは、各信用情報機関に登録されている事故情報をいいます。 信用情報機関とは、消費者金融などの円滑化を図るために銀行協会、消費者金融専門業者などが運営している情報機関です。代表的なものとして、銀行、信用金庫、 信用組合などが会員となっている全国銀行個人信用情報センター、消費者金融業者 が会員となっている日本情報センター、信販会社、家電・自動車メーカー系クレジット 会社などが会員のシー・アイ・シーなとがあります。また、各信用情報機関は、CRIN (クリン)システムにより、現在事故情報について相互利用を実施しています。 なお、情報の登録期間は、各機関によって多少異なりますが、延滞などの事故情報 については、事実発生後5年間、自己破産に関する情報については、宣告日から10年 を超えない期間になります。 |
免責 | 免責を受けてしまえば、不利益は7年間ぐらいの間ローンやクレジットの利用ができなく なるくらいで意外に不利益がないと感じる方も多いかも知れません。しかし、原則として自己破産は2度することはできません。 |
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