教育行政方針
最終更新日:2024年2月20日
教育委員会が新年度の教育行政の執行にあたり、教育行政運営の基本方針を示したもので、毎年第1回市議会定例会にて教育長が表明します。
令和6年度 富士見市教育行政方針
はじめに
昨年は、各種イベントに賑わいが戻り、学校においても子どもたちの元気な声や笑顔に接する機会が増えてまいりました。
令和6年度は、子どもから大人までさらに笑顔が広がるよう、第3次富士見市教育振興基本計画に基づき、教育施策を推進してまいります。
それでは、第3次富士見市教育振興基本計画に掲げる基本方針に沿って、令和6年度の教育行政方針を申し上げます。
1 学びあい、高めあい、夢と希望をはぐくむ教育の推進
1つ目の柱、学びあい、高めあい、夢と希望をはぐくむ教育の推進について申し上げます。
小・中・特別支援学校では、確かな学力、豊かな心、健やかな体のバランスのとれた生きる力の育成に努め、子どもたち一人ひとりを認め、励まし、ほめる教育を行うことにより、夢と希望をはぐくむ教育を推進いたします。
(1)児童生徒一人ひとりに応じたきめ細やかな指導による学力の育成
まず、児童生徒一人ひとりに応じたきめ細やかな指導による学力の育成について申し上げます。
学力の向上につきましては、各種調査結果等を踏まえた上で、学力向上プロジェクトチームによる研究や研修の充実のほか、若手教員育成指導員の活用により、教員の指導力向上を図り、主体的・対話的で深い学びとなる授業を展開し、児童生徒の確かな学力を育成します。また、1人1台端末をはじめとする学びのツールや活用方法を自らが選択し、友だちとかかわりあいながら、課題の発見・解決に向けて考えることのできる児童生徒の育成をめざします。
情報教育につきましては、プログラミングを通して創造性をはぐくむSTEM教育を市内全小学校において実施します。また、STEM教育における成果を活かす場として、小学生ロボコン全国大会の予選会を開催します。
英語教育につきましては、デジタル教科書の活用や、AETと英語専科教員によるティームティーチングのほか、イングリッシュ・サマーキャンプを通して、意欲的に英語によるコミュニケーションを図る児童生徒の育成に努めます。
学校図書館につきましては、計画的な図書の購入等による蔵書の充実を図るとともに、図書の電子管理化について検討します。
(2)多様性を認めあい、誰一人取り残さない教育の推進
次に、多様性を認めあい、誰一人取り残さない教育の推進について申し上げます。
特別支援教育につきましては、通常学級と特別支援学級の交流学習や、小・中学校と特別支援学校の支援籍学習を通し、児童生徒一人ひとりの個性を肯定的に受け止め、豊かな人間性をはぐくむインクルーシブ教育を推進します。また、富士見特別支援学校や特別支援教育推進プロジェクトチームの専門性を活かし、児童生徒の特性に応じた支援や教職員の資質向上を図ります。
未就学児に係る就学相談につきましては、保育施設と連携し、専任の相談員により子どもや保護者の実情に応じた支援を行います。
不登校児童生徒につきましては、出張あすなろなど多様な学びの場を確保するとともに、スチューデントサポーターを活用し、児童生徒一人ひとりの特性や願いに寄り添いながら、社会的な自立をめざします。
教育相談につきましては、各学校においてコーディネーターとなる教員を育成するとともに、専任教育相談員による巡回教育相談を実施するほか、医療機関や大学との連携を強化し、入院する児童生徒への訪問支援やコンサルテーションを行うなど、多面的・多角的な視点から個々の児童生徒に応じた支援の充実に努めます。
いのちを大切にする教育につきましては、助産師によるいのちの授業を全校において実施するとともに、包括的セクシュアリティ教育プロジェクトチームを中心に、性の多様性、人権教育、道徳教育とあわせ、自尊感情を高める教育を包括的に推進します。
いじめ防止対策につきましては、いじめのない学校づくり子ども会議において、いじめのない学校づくり子ども宣言を振り返りながら話合いを行い、いじめ防止のための具体的な取組みを各学校において展開します。
小中一貫教育につきましては、児童生徒間の交流や合同の取組み、教員間の研修や乗り入れ授業を行うほか、各中学校区において義務教育9年間を見通して作成したカリキュラムを市内全校で共有し活用を図ります。
(3)自らの健康・安全を守る資質・能力と健やかな体の育成
次に、自らの健康・安全を守る資質・能力と健やかな体の育成について申し上げます。
児童生徒の体力向上につきましては、ラダーなどの敏捷性を高める教材の新規購入や縄チャレの推進などにより、運動好きな児童生徒の育成に努めるとともに、社会人や大学生アスリートを講師とする授業のほか、体力向上推進委員会における授業研究会により、児童生徒の体力向上を図ります。
児童生徒の歯科保健指導につきましては、学校歯科医や歯科衛生士による歯みがき指導を引き続き全校で実施いたします。
安全・防災教育につきましては、児童生徒が主体的に自他の命を守ることはもとより、学校・地域が連携し、非常時には地域の一員として力を発揮できるよう意識づけを図ります。また、学校応援団や地域の皆様の協力を得ながら、児童生徒が安全に登下校できるよう指導・支援します。
学校給食につきましては、食への関心を高めるため、市内事業者や調理業務受託事業者と連携した取組みについて研究します。また、学校給食を安定的に提供するため、ボイラー更新工事を実施するなど、施設・設備の計画的な維持管理・更新に努めるとともに、中長期的な視点から学校給食センターの建替えについて検討します。
(4)地域の教育力を生かし教育効果を高める学校教育の推進
次に、地域の教育力を生かし教育効果を高める学校教育の推進について申し上げます。
学校・家庭・地域の連携につきましては、特色ある学校づくりをさらに推進するため、学校運営支援者協議会のコミュニティ・スクールへの移行に向け準備を進めます。
教職員の働き方改革につきましては、業務改善検討委員会における対応策や改善事例を市内全校で共有し、業務の効率化を推進するとともに、ICTの更なる活用による教職員の負担軽減について検討し、子どもと向きあう時間の確保に努めます。
学校施設につきましては、3か年をかけて進めてきた市内小・中・特別支援学校体育館への空調設備設置工事の完了をめざすほか、勝瀬中学校及び水谷中学校長寿命化工事、ふじみ野小学校トイレ改修工事等を行います。また、小・中学校プールの共同利用について試行的に実施します。
2 学びあう地域社会をめざす教育の推進
2つ目の柱として、学びあう地域社会をめざす教育の推進について申し上げます。
誰もが主体的に学習でき、学びの成果を分かちあうことで、ともに育ち、活力ある地域社会となるよう社会教育を推進します。
(1)家庭・地域の教育力の向上
まず、家庭・地域の教育力の向上について申し上げます。
家庭教育の支援につきましては、子育て世代の保護者を対象とした学習会のほか、仲間づくりや情報交換のための居場所づくりを進めます。また、地域子ども教室や青少年関係団体の活動の支援を通して、子どもの居場所づくりや青少年の健全育成に努めます。
(2)生涯にわたる学習機会の提供と地域づくりの推進
次に、生涯にわたる学習機会の提供と地域づくりの推進について申し上げます。
子ども大学☆ふじみにつきましては、子どもの知的好奇心を刺激し、自ら学び考える力を伸ばす講座や、郷土愛をはぐくむ魅力ある講座を実施します。
家庭学習応援事業につきましては、児童生徒の基礎学力の向上や家庭学習の習慣化のほか、学校以外の居場所づくりを進めます。
人権・平和教育につきましては、お互いを認め、多様性を尊重しあえる地域社会をめざし、人権問題に関する教育や啓発に努めます。また、ピースフェスティバルをはじめ、戦争体験の記憶を後世に引き継ぐための取組みを進めます。
公民館におきましては、学びを通した地域づくりの核となる施設として、各地域の特性やニーズを踏まえ、多様な人が集い、新たな交流ができるよう事業を実施します。
全館共通の取組みとしてスマホ講座の実施や、ボッチャなど誰もが楽しめるスポーツ活動の普及に取り組みます。
公共施設予約システムの更新につきましては、公共施設に足を運ぶことなく予約が完了できるようオンライン決済機能を新たに追加し、利用者の利便性向上に努めます。
鶴瀬公民館では、全市事業として市民の皆様との協働により子どもフェスティバルや市民大学を実施します。
南畑公民館では、子ども向け事業として怪皆亭やわくわく子ども体験室を実施するほか、なんばた青空市場や南畑ふるさとまつりなど地域の賑わいにつながるイベントを支援します。
水谷公民館では、子育て世代向けの事業として親子フレンドパークを開催するほか、食生活や収納など生活文化に関する講座やロビーを活用したコンサートを実施します。
水谷東公民館では、やなせ川いかだラリーを開催するほか、町会や水谷東安心まちづくり協議会、ふれあいサロンの活動を支援します。
(3)暮らしとまちづくりに役立つ読書活動の推進
次に、暮らしとまちづくりに役立つ読書活動の推進について申し上げます。
図書館におきましては、地域の情報拠点として幅広い市民ニーズに対応した資料を収集するとともに、電子書籍の充実と利用促進に努めます。また、中央図書館開館30周年を記念したイベントを実施します。
子ども読書活動の推進につきましては、学校と連携し、中・高校生ボランティアによる読み聞かせやイベント協力を通して読書に親しむ機会の充実を図るほか、学校や家庭で活用できるよう、複数の児童生徒が同時に利用できるマルチライセンス対応の電子書籍を試験的に導入します。
(4)郷土遺産の継承
次に、郷土遺産の継承について申し上げます。
市の貴重な文化財を広く知っていただくため、郷土芸能の動画配信、公共施設や商業施設における展示、遺跡見学会の実施により、文化財の魅力発信に努めます。また、令和5年度に市文化財として指定した氷川前遺跡出土銅鋺の科学分析や、発掘調査で出土した貴重な資料の保存など、郷土遺産の適切な保護と活用に努めます。
資料館につきましては、水子貝塚公園開園30周年記念事業として縄文グルメフェスや熱気球係留フライト体験を実施します。また、水子貝塚公園再整備に向け、約30年ぶりに未調査の貝塚を発掘します。また、難波田城資料館では、郷土の伝統工芸や生活文化を学ぶ事業を実施するとともに、それらの技を伝承する団体を支援します。
(5)開かれた教育委員会
次に、開かれた教育委員会について申し上げます。
教育委員会会議等の活性化につきましては、教育委員による学校や教育施設への訪問、研修会への参加により、教育上の課題を把握し、教育行政への反映に努めるとともに、市ホームページを通して、教育委員活動の見える化に努めます。
おわりに
これからの時代において、正解がない問いに向きあい、他者との交流により気づきを得ながら、自分なりに答えを見いだすことがますます求められます。
本市においては、主体的・対話的で深い学びを通して、子どもたち一人ひとりがもつ潜在的な力と可能性を引き出し、未来を切り拓く力をはぐくんでいけるよう取り組んでまいります。
引き続き、市民の皆様や議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げまして、令和6年度の教育行政方針といたします。
教育行政方針PDF版
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